その白く柔らかな首筋に犬歯を突き立てた。
ぶづり、と皮膚を貫く音が生々しくも耳へ届いた。
ああ、あれ程までに焦がれた感覚が。
軽く陶酔しながら、そのしなやかな体躯を抱き締めた。
そのまま彼女を動かしている体内血液を、ごくりごくりと音がする程嚥下した。
幼い頃から夢見ていた。
あの頃は身体の大きさも、形の違いにも其れ程気付かなかったが。
今になって成長した彼女を見ると、とても『女』として完成していた。
待っていたんだ、この時を。
「そ…、いた…」
「痛くはないだろ?僕等の唾液には催淫効果がある」
総士の言うとおり、痛くは無いのだが、その甘い痺れが堪らないのだ。
「んっ…ぁ、ゃあッ」
ちゅ、と音を立てて唇を離した。
その離れる僅かな動きも今は刺激で。
伏目がちで服を鷲掴む震える手を握った。
「そんなに気持ちよかった?」
クスリと笑えばムキになって、火照った頬を膨らます。
「全ッ然!沢山飲みやがって!俺が貧血になったらどうしてくれるワケ!?」
勢いよく立ち上がり、くるりと部屋を出て行こうとするが。
「一騎」
その呪文めいた言葉は、声は一騎を動けなくさせる。
「おいで」
「ッ〜!」
苦虫を潰した様な顔でずかずかと戻っていく。
そうして指定された膝の上へと座った。
「だからお礼も兼ねて一騎が倒れない様に、抱くの」
わざと耳元で囁けば、敏感なその身体は容易く準備を整える。
「やめ…ろっ」
心底悔しそうに顔をくしゃくしゃにするから、また嗜虐心がそそられる。
「こっちだって嬉しそうなのに」
早くも濡れたそこは、彼の指を汚していて。
その蜜のついた指で一騎の唇をなぞった。
「やーらし」
「こんの…くそ吸血鬼がぁっ…!」
嫌味な位整った顔で微笑んだ。
≪ ねぇ、今更、惚れてるなんて言ってもいいですか