見たくない聞きたくない知りたくない





解らないものはこわいから。














でもそんな奇麗事は通じない。






それが出来れば、誰も傷つき悲しんだり、犠牲になったりはしないのだから。











守りたいと言いながら犠牲は減らすことも出来ず。





結局守られているのはあなた達ではないですかと




思わずには居られない。

































そしてそれは僕も同じ。






他の同級生達より責任は在れど、去り行く人達を見ていることしか出来なくて。




確実に何かが、誰かが消えてゆく事実に



急に恐ろしく不安になっては未だ眠り続ける妹に会いに行く。







そうすると少しだけ、許される気がしたんだ。







































そんなこと、ありはしないのだけど。












だって乙姫はこの島の神様なんだって。












他の子と変わらない、僕の妹なのに。

そう思う反面、やっぱり神様だと思って縋りたくもなる。

























こんな都合のいい兄じゃ、乙姫も嫌だよね。







































結局、ぼくも、他の大人たちもフェストゥムも






























みんな誰もが許されたかっただけなんだと思う。











でも隠し切れない現実は腫れ上がり、僕の溝を深めてく。








許されたいと思う心は捩れ歪んで






僕を孤立させた。







見渡しても、誰も居ない。













そう。


もっともっと追い詰めて。





僕が逃げられない位に追い詰めて。








誤魔化して誤魔化して






誰にも見つからないように


自分さえも気付かないように









決して誰にも何にも知られないように。






嘘も繰り返せば何時しか本当になるんだ。
























だから、それまでは。































誰にも内緒だよ?




小さい子供は秘密が大好きで、こっそり他者に教える場合は必ずと言っていい程、この決まったセリフを言う。



























「…だれにも、」

「何か言ったか?」



僕の呟きはどうやら声に出ていたらしい。



最近の自分は驚く程無用心になったものだと苦笑した。




「いや、何でもないよ」





一騎は反射が優れている。
常人では判断し兼ねる咄嗟の物を見、聞くことが出来る。

きっと遠見とは違う視点から、相手の異常を察してしまうだろう。









ばれては いけない。
















巧く上手く、作り上げていかなければ。





















羽ばたきたいと望み願った空は


























想像以上に眩しくて。
















やはり人の物ではないんだな、と感じる。












相容れない絶対的な壁がある。



























だからこそ、憧れ、欲するのかもしれない。



















きっとそこに辿り付けたらそれは、許された様な感覚に満たされるだろうから。





















































≪  おかしくて、嗤い出してしまいそう。